大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 昭和25年(う)612号 判決

原審が被告人から金六千七百六十二円五十銭、橋本徳一から金三千八百円を追徴する旨言渡したことは所論のとおりである。しかし、収賄者において一旦収受した賄賂を費用した場合は、没収することができないものとなり、その価格を追徴すべきもので、たとえその後において同額の金員を贈賄者に返還したとしても、単に経済上原物返還とその効果を同じくするというに止り、費消したことにつき何等影響ないから、これを追徴すべきものと解すべきである。(一六巻七五八頁参照)原審が適法に確定した事実によれば被告人は橋本徳一から金五百六十二円五十銭相当の酒食の饗応を受けた外貸借名義の下に現金一万円の交付を受けて職務に関し賄賂を収受し右金一万円の中金三千八百円はそのころ直ちに橋本徳一に返還し、残金は被告人において費消したというのであるから、たとえその後において被告人から右橋本に右費消した金額と同額のものを返還したとしても、被告人に対し右金額の追徴を命ずべき筋合であつて、原審が饗応代金五百六十二円五十銭と被告人が収受して費消した金六千二百円を合算した金六千七百六十二円五十銭を追徴したことは何等違法ではない。また橋本徳一に対し金三千八百円の追徴を命じた点に対する批難は被告人に対する判決に影響を及ぼさないから適法な控訴理由とならない。論旨は理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!